今や絶滅危惧種と言えるほど本数が減ってしまった「夜行列車・寝台特急」

2017年時点で定期運行が行われている夜行列車は「サンライズ瀬戸・出雲」だけで、他の列車はほぼ全てが廃止または臨時運転のみとなってしまいました。

鉄道好きな私にとって夜行列車はとても魅力的な存在でしたが、現在の夜行列車は非常に厳しい状況に置かれていると言わざるを得ません。

今回は、そんな夜行列車・寝台特急がなぜ無くなってしまったのか、その理由や背景について書いていきます。

夜行列車が無くなった理由

飛行機や新幹線、夜行バスの普及

夜行列車が衰退した一番の理由は、やはり飛行機と新幹線の路線拡大でしょう。

かつて、夜行列車が日本中を走っていた時代には、鉄道の代替となる移動手段がなかったために、長距離を移動する際は必然的に夜行列車でした。

しかし、1980年代以降は飛行機や新幹線の拡充に伴い、夜行列車に乗らなくても日帰りが可能となった結果、利用者は次第に減ってしまいました。

さらに、近年の交通事情で見れば、圧倒的な安さと柔軟な運行路線が売りの夜行バス長距離でも安い格安航空LCCの存在も夜行列車にとっては大きな脅威となっています。

時代の変化に伴い、移動手段の多様化・高速化が進んだ以上、夜行列車が衰退するのはある程度仕方がないとも言えます。

 

老朽化した車両と高い寝台料金

夜行列車が衰退したもう一つの大きな理由としては、車両の老朽化・陳腐化と割に合わない寝台料金も関係しています。

ブルートレインと言われた車両の多くは1970年代~80年代にかけて登場した車両であり、2000年代に入ると車両の老朽化が問題となりました。

また、車両が古くても寝台料金は変らないため、古い車両では寝台料金に対する車両設備やサービス面で割に合いません。

 

例えば、現在最も寝台料金が安い寝台券はB寝台ですが、B寝台の料金でも6,480円とビジネスホテル1泊分と同等の料金がかかります。

これに加えてさらに別途運賃と特急料金もかかるため、場合によっては新幹線よりも高くなるケースもあります。

サンライズ瀬戸・出雲のように比較的新しい車両であれば価格に見合った設備・サービスと言えますが、80年代の古い客車では到底割に合いません。

 

そんな高い割に設備の古い夜行列車を使うぐらいなら、

  • 飛行機や新幹線で前日に現地へ行きビジネスホテルで1泊
  • グレードの高い夜行バスを利用する

といった方が安価でなおかつ快適と言えます。

また、寝台券の購入はツアー旅行を除いて原則的にインターネット予約ができず、窓口で購入しなくてはならず非常に面倒です。

さらに、乗車券+特急券+寝台券という特殊な料金形態も、一般人からしたら複雑で分かりずらいかと思います。

参考:【特急券や寝台券とは?】各切符の種類と効力を分かりやすく解説

 

新車の導入コストが高い

上記の車両の老朽化に関しては、新しい寝台車両に置き換えることができれば改善できます。

しかし、新たに一から寝台車を開発・導入には大きなコストがかかるため、現在の夜行列車の需要を考えると新車の導入は慎重にならざるを得ません。

特に、寝台車はその性質上、普通の列車と違って車内設備や構造が特殊なため、運用方法やメンテナンスにも制約・負担がかかります。

ただ、車両に関しては現行の旧型車両をリニューアルして夜行列車に改造することで、ある程度費用を抑えられるかもしれませんね。

 

乗車定員数が少なく利益が出しずらい

寝台車の場合は通常の列車と違って、スペースを取る寝台を設置することになるため、1両当たりの乗車定員数は少なくなります。

定員数が少なくなれば一度に運べる客の数も少なくなるので、利益を出すためには毎度できる限り満席にするのが望ましいです。

しかし、元々の寝台料金が高めに設定されているため、乗車率が悪ければ逆に大きな赤字となるリスクもあります。

例え、金曜土日が満席でも、平日に空席がいくつかあるだけで赤字となる可能性もあります。

 

さらに、夜行列車を運行する以上、保線作業の計画変更や夜間の駅員配置が必要になるため、夜行列車運行に対する費用や負担も問題と言えます。

また、JR各社をまたいで運行する場合は利益の配分や駅員の入れ替え等の問題もあります。

鉄道会社からすれば、一度に大量の客を輸送できる新幹線や特急列車に比べると、寝台列車は儲けが出にくく扱いづらい存在なのです。

 

まとめ:需要はあるが採算的に割に合わない

このように夜行列車が衰退した理由は様々であり、時代の変化や車両の維持・修繕、収益性といったことが関係しています。

夜行列車の需要があることは間違いないかと思いますが、その需要に対するコストや負担が大きすぎることが、夜行列車の維持・復活の大きな課題と言えます。

夜行列車が完全に無くなってしまうことはまだないかと思いますが、かつてほどの賑わいはもう戻って来ないかと思いますね。

夜行列車は、乗れるうちに乗っておくのが吉かと思います。

以上、参考になれば幸いです。