首都圏でも屈指の混雑率を誇る「中央線快速」

そんな中央線には2020年度を目途に「グリーン車」の増結が計画されており、現在、車両編成の増加に向けた工事が沿線各所で行われています。

しかし、中央線快速にグリーン車を導入するにあたってはいくつかの問題点もあり、1年ほど前にJR東日本は導入計画を数年遅らせるという発表もありました。

今回は、そんな中央線快速にグリーン車を導入する目的と、起こり得る問題点について考えていこうと思います。

中央線にグリーン車が導入される目的とは?

中央線快速と言えば、関東首都圏においても非常に高い混雑率を誇る路線です。

列車本数も超過密ダイヤであるにもかかわらず、朝ラッシュは混雑率180%超えるほど満員電車が常態化しています。

 

これ以上列車の本数を増やせない現状を踏まえると、車両を増結して1編成辺りの輸送力を強化するのは妥当な処置と言えるでしょう。

車両が増えればそれだけ定員に余裕が生まれるので混雑緩和に繋がります。

朝ラッシュの混雑が少しでも楽になれば利用者としても嬉しいことは間違いありません。

 

また、グリーン車の導入にあたっては、現状の10両編成からグリーン車を2両追加して12両編成化を予定しています。

車両数が減るわけではないため、例え有料のグリーン車であっても1編成辺りの定員は増加することになります。

 

しかし、増結される車両は普通車ではなく、あくまでも「有料」のグリーン車です。

グリーン車の車両は普通車と比べても構造上1両辺りの定員数は少なく、ただでさえ超満員の状態なのに、なぜ空間に無駄のあるグリーン車が導入されるのでしょうか?

 

中央線快速にグリーン車が導入されるもう一つの目的は、着席サービスの提供にあります。

通勤時間帯は「座席に座れる」というだけでも多くの需要があり、お金を払ってでも座りたいという人は少なくありません。

そして、グリーン車は有料である以上利用者は限られるため、普通車の満員電車に比べれば立ち乗りでも不快な思いをすることは少なくなります。

 

ちなみに、鉄道会社からしてもグリーン車の導入は収入増を見込めるため、普通車よりもグリーン車を導入したいと考えるのは妥当とも言えるでしょう。

 

グリーン車導入の問題点

導入までに必要な工事が多い

グリーン車を導入するといっても既存の10両編成から12両編成へと列車が長くなるため、駅ホームの延長工事が必要です。

特に、中央線快速が走る沿線、および駅周辺は既に住宅や建造物が密集しているため、たった数十メートルのホーム拡張でも容易ではありません。

また、グリーン券を発売する券売機の設置や、信号設備の更新、グリーン車のトイレに必要な汚物処理施設の設置など、多くの工事と改修が必要になります。

 

現に、JR東日本はホーム延長工事や駅設備の改修に想定以上に時間がかかるという理由で、2017年3月にサービス開始時期を数年ほど延期するとの発表がありました。

実際に12両編成化が実現されるには、まだまだ多くの時間を要すると言えます。

 

必ずしも座れるとは限らない

グリーン車導入の目的の1つに着席サービスの提供がありますが、在来線普通車に増結されるグリーン車は必ずしも座れる保障がありません。

特に、中央線快速は利用者が非常に多い路線なので、始発駅から「グリーン車も満席」という可能性はあります。

 

例えば、私が頻繁に利用する朝ラッシュの東海道線上り(東京方面)は、途中駅である平塚や横浜からだとグリーン車でも立ち客が出るほどであり、まず座れません。

グリーン車に座ろうと思っても利用者の母数が多すぎて、結局、グリーン車に乗っても座れず立ったままといった現象は少なからず起こるかと思います。

グリーン料金を払っても座席に座れないのであれば「最初から普通車を増結してくれ」と思う人もいるでしょう。

 

折り返し駅での清掃

列車にグリーン車を導入した場合、折り返し駅での車内清掃や座席の転換作業が必要になります。

中央線快速の場合は東京駅も発着駅の1つですが、東京駅のホームは1面2線しかなく、さらに過密ダイヤである以上、折り返し出発するまでの待機時間も非常に短いです。

特に、ラッシュ時には2~3分ごとに列車が発車することもあるため、清掃・転換作業の時間は現実的にかなり限られています。

 

恐らく、人員を増員させることで対応すると思われますが、清掃作業に時間がかかって遅延が発生する可能性もゼロとは言えません。

 

特急料金との逆転現象

現在、中央線には「特急かいじ」「特急あずさ」といった特急列車に加え、通勤ライナーの「青梅ライナー」「中央ライナー」も走っています。

普通列車にグリーン車が導入された場合、一部区間で普通列車のグリーン料金より特急列車の自由席料金の方が安くなる逆転現象が起こります。

 

例えば、立川~新宿の区間で見てみると、特急かいじの自由席特急料金は「510円」です。

しかし、導入されるグリーン車が既存の料金形態のままだと、普通列車のグリーン車料金は平日の場合「770円」、ホリデー割引の休日でも「570円」と特急料金よりも高くなってしまいます。

また、青梅ライナーや中央ライナーといったライナー券でも同様に普通車グリーン料金の方が高くなってしまいます。

 

特急列車の方が速達性も快適性でも上であるにもかかわらず、普通車グリーン料金の方が高いというのはいささかおかしな話です。

特急料金との逆転現象をどうするのか、グリーン車導入後の料金形態に関しても課題が残ります。

 

まとめ:利用者にとっては得だが課題も多い

このように中央線快速のグリーン車導入の目的には、定員増加による混雑緩和と着席サービスの提供にあります。

既存の普通車が減らされる訳ではなく、多少なりとも混雑緩和は期待できるため、基本的に現状の利用者が損するような事態にはならないかと思います。

 

ただ、グリーン車は定員数が普通車に比べて少ないため、実際に増結されても劇的な混雑緩和とまではいかないと言えます。

グリーン車の導入には課題も多いですが、どちらにしても現状の中央線快速は超満員が常態化しているため、12両編成化は早期に実現してほしいものですね。

今後の動きにも注目です。