かつてメディアでも取り上げられたことのある「大回り乗車」での鉄道旅行。

大回り乗車とは、「大都市近郊区間内であれば、同じ駅を通らない限りどの路線を通っても良い」というJRの特例の俗称です。

 

一見、初乗り運賃だけで1日中いろんな電車に乗るのは不正乗車にも見えますが、その特例に基づいた乗車経路であるなら不正乗車とはなりません。

今回は、大回り乗車はなぜ不正乗車とならないのか、その大回り乗車の仕組みについて分かりやすく解説していきます。

大回り乗車が不正乗車でない理由

JRが大都市に設けた特例の本来の目的は「利便性の向上と改札業務の簡略化」にあります。

大都市近郊区間は、

  • 東京
  • 大阪
  • 福岡
  • 新潟
  • 仙台

の5つの地域に設けられていますが、これら地域では1つのエリアに複数の鉄道路線が入り組んでいます。

路線が多いが故に、出発した駅から目的の駅までの経路に複数の経路パターンが出てきてしまいます。

 

具体的に東京区間を例として、品川駅から赤羽駅へ行く場合を例に見ていきましょう。

品川駅から赤羽へ行くには上野東京ラインか京浜東北線に乗り、東京駅・上野駅を経由していくルートと、

山手線に乗り、途中で埼京線に乗り換えて行く、新宿・池袋駅を経由のルートの2つが考えられます。

運賃は最も安くなる経路で計算されていますが、特例では実際に乗車する経路についての指定はありません。

 

そのため、どちらのルートでも運賃は同じであり、違うのは所要時間と乗車する路線だけです。

この特例があることによって、私たち乗客は目的地へ行くために最適なルートを選択することができます。

また、JRにとっても経路の確認や改札業務の負担を減らすことができるという訳です。

 

近郊区間の特例がなかったどうなる?

仮にも、この特例がなく、大回り乗車が不正乗車という扱いになってしまったとすると、

  • 切符購入の度に経由駅・経路を決める必要がある
  • 発券・改札業務が複雑化し、乗車/降車に時間がかかる
  • 乗車経路の特定するために莫大なコストがかかる

などの問題が発生し、我々利用者・鉄道会社共に非常に面倒なことになります。

 

特に近年ではSuicaやPASMOなどのICカード乗車券が普及しているため、乗客がどのルートを通って移動したのか特定するのは困難です。

例え山手線に乗ってちょっと出かけるというだけでも、「内回り」か「外回り」かの経路を選択することになってしまいます。

 

また、もしかすると経路を細かく把握するために「電車の車内に改札ができる」なんてこともあるかもしれません。

つまり、特例がないと面倒な手続きが増える上、利便性も大きく損なわれることになってしまうのです。

 

大回り乗車は特例の穴を突いた乗車方法

ここまで見た通り大都市近郊区間の特例は「利便性の向上・各種手続きの簡略化が目的」ということをお分かり頂けたと思います。

本来は、そのような利便性向上の目的で設けられた特例ですが、大回り乗車は言わばその特例の穴を利用した乗車方法です。

 

つまりは、「特例のルールに違反しない範囲で電車に沢山乗る」というのが大回り乗車の実態です。

 

特例の範囲内でなおかつ同じ駅を通らない、そして途中下車もしない一筆書きの移動あれば、可能な限り大回りして沢山の電車に乗ることも不可能ではありません。

 

先ほどの品川駅~赤羽駅の移動を例に説明すると、画像のように神田、御茶ノ水、代々木の中央線を利用したルートでも問題ありません。

 

また、極端な話、

といった、普通はあり得ないような経路でもルールを守っていれば大回り乗車は成立します。

もちろん、このような極端な大回りの場合でも運賃は品川~赤羽の最も安い経路で計算されます。

 

とてもインチキ臭い感じもしますが、特例のルールに従っていれば何ら問題はないのです。

ただし、あくまでも大回り乗車は「特例の穴を突いた乗車方法である」ということは忘れないようにしましょう。

 

まとめ

このように大回り乗車は、あくまでも「特例を利用して合法的に遠回りすること」です。

ルールに従っているとは言っても、特例の本来の目的とは異なる方法(グレーゾーン的な方法)であるということは覚えておきたいです。

 

それでも大回り乗車を行う際は、不正乗車にならないよう必ずルールや注意点を理解した上で行うようにしましょう。

以上、参考になれば幸いです。

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